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「あの、レシピとは何なんでしょうか?」 「婆さんのそのまた婆さん、代々受け継がれる物だ。鬼をやるのにはかかせない。特にヤツをやるなら尚更だ」 「お待たせしましたぁ」  そのタイミングで料理を持ってきた哲也が二人の元へ。 「オムライスと」  順番にそれぞれの前へ空腹の匂いを並べた。 「ミックススペシャル定食です」  有真の前にはシンプルなオムライス。桃太郎の前にはミックスフライ定食のご飯が海鮮丼になった文字通りスペシャルな定食。 「そんなに食べるんですか?」  どこか気圧されながら有真はスペシャル定食を見つめていた。 「こいつが鬼をやる秘訣だ」  そう言って桃太郎は最初にエビフライに齧り付いた。  その向かいでまず一緒に運ばれて来たケチャップをかけた有真は、一口目を掬うと顔の前で止めじっと見つめ始めた。 「どうした?」 「いえ、懐かしいと思いまして」 「ここに来た事あるのか?」 「そうではなくて……。母が昔オムライスをよく作ってくれてまして。母子家庭で忙しい中でもご飯は良く作ってくれてましたね」  懐古の情に染まった彼の双眸はスプーンに出来たオムライス山の空に想い出を見ていた。 「それが今じゃゴーラン王国軍の総司令部か」 「母には感謝しかありません」 「なら少しでも顔を見せる事だな」 「はい」  それから食事をしながら待っていた二人の元へ丁度、食べ終わり一息ついたところで有紗は戻って来た。手には二つの袋を持っているが、色付きで中は見えない。
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