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「出来たよ」  達成感に満ちたような表情を浮かべながら有紗は桃太郎へ袋を見せた。 「こっちがお馴染みのレシピで」  そして白っぽい袋をまずは差し出した。 「こっちが私のオリジナル」  続いてピンクがかった袋を差し出した。 「一時的だけど、こう力が溢れてくるみたいな? 是非試してみて」 「儂は実験体か」 「まぁちょっとだけ」  少し意地悪な顔をし、顔の前で人差し指と親指をそのちょっと分だけ隙間を空けて見せた。 「あの、これは何なんでしょうか?」  そんな二人のやり取りを後ろで見ていた有真は申し訳なさそうに袋の中身を尋ねた。 「これは家に代々伝わる吉備団子です」  桃太郎の持つ袋を手で指しながら有紗が答えた。 「こいつは特殊なレシピで作られていてな。食べれば、簡単に言えば細胞が活性化する」 「つまり若返っちゃったりするんですよねぇ」  自分の頬を両手で挟みながら有紗は羨ましそうに少し顔を左右に揺らした。 「もちろんそれが目的じゃないですけど。それに材料の一つが余りにも希少なので量産はもちろん殆ど作れないですけどね」  そんな彼女の前で桃太郎は一つ手に取ると口に入れた。口内に広がるのは他の団子を寄せ付けない程の絶品――ではなく至って普通の団子。 「ほらこれを一粒食べればあら不思議……」
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