1人が本棚に入れています
本棚に追加
/41ページ
14
初めは何を言っているのか分かっていないと言った様子の真獅羅だったが、袋を受け取り中を覗くと零す様に笑った。
「まだ残ってたのか」
「こいつが最後だ」
「ったく……。残りは優雅に暮らす予定だったって言うのに」
「似合わない事はするもんじゃない」
真獅羅は吉備団子を一つ手に取ると顔の前で少し眺め始めた。
「確かに俺の伝説に傷が付くのは見過ごせんな」
「詰まらせて死ぬなよ」
一笑に付すると真獅羅は少し大きめのその団子を口へ放り込んだ。栗鼠の様に団子を頬張りながら食べ辛そうに口を動かす。もぐもぐと真獅羅が食べるのを待つ間の謎の沈黙が始まった。
「うっ!」
すると突然、真獅羅は苦しそうに胸を押さえ出した。そして悶え苦しみながらその場に蹲る。
「だ、大丈夫なんですか!?」
苦しむ真獅羅に有真は慌てた様子。
そんな有真を他所に依然と唸るような声を上げる真獅羅だったが――その体には異変が起こり始めた。全身が光に包み込まれ、と言うより体自体が光を放っていると言った方がいいのかもしれない。
最初のコメントを投稿しよう!