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真獅羅は桃太郎にそう言われるとエヌロードと向かい合うように広がる地区を指差した。
「ルムナファミリー。俺が聞いた話だとな」
「あとはどう会うかだな」
「確か相当な地位に就いてるはずだ。記憶違いじゃなきゃキロって名前だった覚えがある。でもまぁ知り合いだからなんて理由じゃ会えないだろうな」
「詳しいな」
「たまたまだよ」
「それなら手っ取り早く手荒な方法にしとくか」
「おいジジイ。血の気が多すぎだろ」
そう言いつつも特に止める事なく桃太郎と共に真獅羅はルムナファミリーの縄張りへと足を踏み入れた。
そこはバーやレストランなど比較的に品のあるような街並みだったが、でもどこか陽の光が届かない闇を思わせる不気味な雰囲気が漂っていた。そんな街を適当に歩いた二人は適当なバーへ。
疎らにお客のいるバー内へ二人が入店すると、微かながら警戒の視線が飛び交った。平然を装いながら二人は店内をざっと確認しつつマスター前のカウンター席に腰掛ける。
「スコッチのシングル、ストレート」
「んじゃ俺はウォッカにするかな」
「かしこまりました」
注文を受け静かにお酒を入れると手早く二人の前に並べるマスター。そしてまずはそのお酒を一口ずつ。
「なぁ。ルムナファミリーのキロに会うにはどうしたらいい?」
真獅羅は少し身を乗り出し、マスターに直球的に尋ねた。
だが当然と言うべきかマスターは苦笑いを浮かべ少し首を振って見せる。
「申し訳ございません。私には何とも」
「そうかぁ。どうもしたもんかな。アイツには借りがあるからな」
わざとらしく大声で溜息交じりの声を出す真獅羅。
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