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 若返った奇妓栖はまず大きく伸びをした。 「若さっていうのは最高ね。どんな宝石よりも美しく、どんな大金よりも価値があるわ」  自分の腕を撫でるように見つめながら奇妓栖は満足気な笑みを浮かべていた。 「あんま変わんねーんじゃねーのか?」  頬杖を突き覗き込む真獅羅は揶揄うような表情を浮かべていた。そんな真獅羅を鏡写しのように見返す奇妓栖。 「昔の誼みとして犬小屋か路上かは選ばせてあげる」 「いや、冗談だって」  一瞬にして撃沈された真獅羅は桃太郎の陰に隠れるように身を戻した。  一方で勝利を収めた奇妓栖はそのまま視線を桃太郎へ。 「そう言えばアンタは食べないの?」 「そういやそうだな。何でジジイのままなんだ?」 「いや、もう食べた。理由は分からないがな。だが別に動けるようになってればどうでもいい。それより準備があるんだろ?」 「そうね。ロッド」  奇妓栖に呼ばれ近づいて来たのは一緒にこの店へやってきた優男だった。 「二人をホテルに案内して。あと王国軍のお友達も」 「はい」 「あとはこのロッドに任せるわ」 「分かった」 「それじゃあまたあとで」  そう言うと奇妓栖は立ち上がりドアへと歩き出す。その途中、最初に真獅羅へ話掛けてきた男の傍で立ち止まると「片づけはよろしく」と伝えそのまま店を後にした。
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