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「如何でしょうか?」
「――元々は儂が殺し切るべきだった」
過去を思い出しながらそう呟いた桃太郎は、ただじっと写真越しの王鬼を見つめていた。
「いいだろう。責任を持ってアイツをあの世に連れてってやる。偽りの英雄としてな」
「全てを代表して感謝申し上げます。引き受けて頂きありがとうございます」
刀のように鋭利で素早く、美しい動きでフィスキーは最大限の敬意を込めた敬礼を桃太郎へと送った。
「これよりゴーラン王国軍は貴方への全面協力を確約させて頂きます。必要な物があればいつでも仰って下さい。それと――」
フィスキーはそう言うと一度デスクまで戻り長方形の封筒を手に取った。そして立ち上がる桃太郎の元へ戻るとそれを差し出した。
「こちらをどうぞ」
小首を傾げた表情を浮かべるもその封筒を受け取る桃太郎。
「そちらは、ゴーラン王国軍最高司令官である私の発言と同等の力を有しています。ゴーラン王国軍であればそれを見せるだけでご協力させて頂きます。他にもある程度、融通は利くようになるかと」
「他国でも使っていいのか?」
「必要とあらば遠慮なさらず」
若干の冗談交じりで尋ねた桃太郎に対し、一切の迷いは無くその返事は返って来た。
「政治屋に叩かれるぞ?」
「問題ありません。元より聞く価値の無い小言などに興味はありませんので」
清々しい表情を浮かべたフィスキーを目の前に桃太郎は封筒を内ポケットへ仕舞った。
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