出会い

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 待ち合わせの場所に行くと、あーちゃんと、細身で背の高い男の人が待っていた。 「お待たせ。もう1人の人は?」 「ちょっと遅れてるみたい。オーダーはしててくださいってさ」  3人でランチのオーダーを通すと、あーちゃんが男の人を私に紹介した。 「遥ちゃん、森本さんだよ。私と同じ会社に勤めてるの。営業。で、えーと……」 「あれ?もしかして」 「うん。お付き合いしてるんだ!」  あーちゃんの顔が、輝いていた。  いつもの多少辛辣な雰囲気が影を潜めて、かわいい女の子の顔になっていた。 「うわあ、あーちゃん良かったね!」  そこへ、遅れていたもう1人の男の人が現れた。 「重岡、遅刻だぞ」  森本さんが声をかける。 「ごめんごめん、来る途中におばあさんに道を聞かれて」  重岡さん、と呼ばれた男の人は、森本さんとは対照的に、背は高くなく、がっちりして筋肉質なタイプだった。  森本さんは服装に気を使っているけど、重岡さんはそうでもない。 「はじめまして、河澄遥です」 「重岡です。よろしく」  握手を求められて手を握ると、無骨な手がふわっと握り返してくれた。 「重岡、ここ日本だぞ」  森本さんがたしなめる。 「こいつ、小さい頃から外国暮らしが長くて。日本の風習に疎いんだよ」  あ、と重岡さんが手をひっこめる。 「すみません、ついクセで」  無骨な手なのに、ギュッではなくて、ふわっと握ってくれたことが印象的だった。  見た目はガッチリしてるのに、優しいんだな。 「重岡さん、オーダー決めました?お腹すきましたよね、美味しいもの食べましょうよ!」  4人でランチを食べた。  仕事から離れて、リラックスした時間だった。  ランチの後、男性陣と別れて、あーちゃんと買い物に行った。 「あーちゃん良かったね、森本さんかっこいいじゃん、似合ってるよ!」 「えへへ、ありがと遥ちゃん。重岡さんはね、森本さんの親友なんだよー。ちょっと前に紹介してもらった時、遥ちゃんと合いそうだなって思って。良かったら、また4人でランチしようよ」 「えー、もう邪魔しないから、あーちゃんと森本さんでランチしなよ!ラブラブしなよ!」  あーちゃんは、自分が幸せだから私にもお裾分けしてくれるつもりらしい。  余計なお世話だよ、と心の中で毒づいた。
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