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駅で
翌日、子どもたちが帰った後に、仕事のことでお使いに出た。隣の駅にある手芸屋さんに、次の行事に使う布の下見に行った。
良さそうなものを見つけて、主任と一緒に喜んで、あれとあれを買って、あそこには園にあったものを使って、と話しながら、改札まで来たとき。
目の端に、重岡さんが映った。反射的に振り向いた。目を疑った。女の人と一緒だった。
心臓がぎゅっとなって、思わず立ち止まった。
「遥先生?」
主任に声をかけられて、すぐに我に返った。仕事中だ。
「すみません。あの布、どこにしまったかなって思って」
「たしか倉庫の手前の棚だったような気がするけど」
「戻ったら確認します」
笑顔、笑顔──。とにかく終業まで頑張った。
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