あーちゃん

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あーちゃん

 次に私の異変に気づいたのは友人のあーちゃんだ。  日曜日、ランチに誘われて外食した時。 「笑い声が甲高い。なんかあったでしょ」  あーちゃんとは大学の時のサークルで知り合った。  学部も違うし年も私が1つ上だし(私は浪人したので学年は同じ)、自分も彼女も何故だかわからないけれどウマが合った。卒業してからも頻繁にランチやお酒を楽しんだ。 「気づいてないの?遥ちゃんはヘコむことがあると、笑い声が甲高くなるの。あと、おでこが荒れてる。これはママさんに聞いたんだけどさ」  地方出身で一人暮らしの彼女は、たまに家に来て母の夕飯を食べる。母とも仲が良かった。 「うーん、なんか隠せないんだねぇ。私、いつも通りしてるつもりだったんだけどなあ」 「あのね、何年一緒にいると思ってんの?あと、私だよ?総務は何でも屋なんだから、いろんなことに気づいてナンボなんだよ」  彼女は並々ならぬ努力の末に中堅企業に就職して、総務課に配属されていた。若手には珍しく最初から総務希望で、周囲を和ませていた。仕事熱心で頑張り屋で、社内の年配の人達にもウケがいいらしい。 「子供が1人……亡くなったの」 「えっ……?」 「担任してた、年少組の女の子がね、感染症にやられて」 「そんな……」  あーちゃんは絶句した。それはそうだろう。言えることなんてあるわけない。 「でも大丈夫!いっぱい泣いたし、私が悲しんでても何もならないしね。私、仕事頑張らないと。まだまだ半人前だからねー。この前ね、主任がね……」  あーちゃんに打ち明け、吐き出してスッキリして、元気になる自分。を、もう1人の自分が傍で見ていた。冷たい目で。
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