薄々感じていましたがこうなる前に言ってほしかったというのが本音です。

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薄々感じていましたがこうなる前に言ってほしかったというのが本音です。

「リタ、すまないが婚約者を破棄してくれ」 婚約者のルシアンに学園の食堂で婚約破棄をされました。 『わかりました。その婚約破棄を承りました』 私の言葉に満足したように食堂を出て行きました。 この瞬間から“元婚約者”となったルシアン。 いえ、これからは“殿下”とお呼びしなくてはね。 予想が外れなければ妹のナタリアと婚約し直すのでしょう。 お父様がお怒りになりそうですけどお母様は喜ぶでしょうね。 『はぁ~』 手に取るようにわかってしまって無意識にため息が出てしまった。 「今のはどういうことですの!?」 私の隣の席に座っていた友人のアリシア・ケレットが たった今婚約破棄された私よりも 怒っていて毒気を抜かれてしまった。 『どうもこうも、聞いての通りよ…… 殿下が妹のナタリアを好きなのは前々から 気付いていたのだけれど、こんな(食   堂)で婚約破棄を言う前にはっきり、 ナタリアが好きだって 言ってくれたらよかったのにね。 ナタリアも殿下を好きみたいだしいいんじゃないかしら。 まあ、【公爵家】なのは変わりないし姉から妹に代わるだけよ。 ただ、ナタリアに王妃教育やマナーレッスンに 耐えれるかは別問題でしょうけどね』 そこら辺は王太子であるルシアン殿下の婚約者になったからには なにがなんでも頑張るしかないのだけれど。 「あなたとは正反対だものね。 こう言ってはなんですけれど直ぐに音を上げてしまうのではないかしら」 直ぐにアリシアの言葉を否定できればよかったのだけれど 私も納得してしまった…… 殿下が我が家に来たのは翌日の夕方だった。 『ルシアン殿下、いらっしゃいませ』 淑女らしく完璧なカーテンシーをした。 婚約破棄を了承した以上気軽に呼ぶ訳にはいかない。 「あぁ、出迎えありがとう、リタ嬢」 『いえ。お父様・お母様・ナタリア ルシアン殿下がいらっしゃいました』 リビングルームに案内しました。 「先触れも無しに申し訳ない」 『私はお茶の用意をしてくるからナタリア、殿下のお相手をお願いね』 リビングを出てキッチンに向かった。  『ララ、代わるわ』 お茶の用意をしていたメイドのララからティーポットを受け取り 茶葉を入れお湯を注いだ。 リビングに戻り殿下にお茶を渡した。 『どうぞ』 元々、好いていたわけではなかったので 昨日の食堂での⌜婚約破棄宣言⌟にも 正直、何も思っていなかった。 『ほらナタリア、お忙しい中あなたに 会いに来てくれたのだからお話したら?』 私の発言にその場の空気が凍りついた。 「リタ、それはどういう意味だね!?」 『どうもこうも、そのままの意味よ、お父様。 二人がお互いに好意を持っいたことは随分前から 知っていたから昨日、婚約破棄宣言された時に了承したのよ』 物心付いた頃からずっと公爵邸と学園と王宮の往復の毎日で 代わり映えのない毎日だったからやりたかった事を 自由にやろうと思う。 『そういうことだから、 婚約はナタリアとし直してあげてね。 そうそう、お父様、私は明後日から居ないから ナタリアがきちんと王妃教育に行くように促してね。 殿下も宜しくお願いいたしますね』 やっぱり隣国よね。 「旅行にでも行くのか?」 『えぇ、ずっと国内から出た事が ありませんでしたから 隣国に行こうと思っていますの』 「そうか、リタ嬢なら大丈夫だと思うが 気を付けつつ楽しんで来るといい。 明日から学園は夏期休暇だしな」 殿下の言う通り、明日から学園は 二ヶ月半の夏期休暇に入るから 明日の内に旅行の準備をして 明後日に出掛ける予定だ。 『ありがとうございます』
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