深夜の再会

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「もしもし!植田!?」 「なんだ、栗山か。なんだよ、こんな時間に」 「ああ、あの、あのさ、お、俺、たった今見ちまったんだよ!」 「なんだよ、ちょっと落ち着けよ。どうしたんだよ」 「だから、見ちまったんだよ!」 「何を見たんだよ。まず最初から話してくれよ」 「あの、あのさ、さっき、国道歩いてたら、あのさ、あの」 「うん、国道歩いてて、それでどうした?」 「そしたら、いきなり、ああ」 「いきなりって、要するに道歩いてたら突然何かが現れたってわけだな?何を見たんだ?」 「そう、突然現れたんだよ!」 「だから、何がさ?」 「石島だよ!」 「……石島?」 「そうだよ、俺らの同級生の、あの石島隆介なんだよ!」 「……石島隆介?だってあいつは」 「そうだよ!もう、死んだ筈だよな。お前も知ってるだろう」 「ああ、知ってる。確かに亡くなった」 「その石島に会っちまったんだよ!」 「まさか、そんなこと」 「本当なんだって!暗がりの中に、あいつの周りだけ、ぼうっと何やら光っててさ。目をかっと見開いて、口も大きくあけて俺の顔をじっと凝視しやがって……ああ、もう、あんな怖い顔みたことない!」 「なるほど、そりゃ、怖かったろうな。それでお前、パニクってるわけか」 「もう、誰かに話さなきゃいられなくてさ。そんで、お前に電話したんだ」 「なるほど、なるほどね……まあ、落ち着け。大した話じゃないから。慌ててると、大事なことが見えなくなるぞ」 「大した話だよ!あいつの幽霊に出会っちまったんだぞ!こんなの初めてだ。ああ、怖かった」 「とにかく落ち着けって。まあ、あいつがお前に害をなすことは無いと思うよ」 「本当にそうかなあ」 「大丈夫だって。とにかく今日のところはゆっくり寝なよ。俺も明日早いんだ」 「わかった。お前と話したらなんだか落ち着いて来た。有難う。遅くにごめん」 「もしもし!植田!?」 「なんだ、石島か。なんだよ、こんな時間に」 「ああ、あの、あのさ、お、俺、たった今見ちまったんだよ!」 「なんだよ、ちょっと落ち着けよ。どうしたんだよ」 「だから、見ちまったんだよ!」 「何を見たんだよ。まず最初から話してくれよ」 「あの、あのさ、さっき、国道歩いてたら、あのさ、あの」 「うん、国道歩いてて、それでどうした?」 「そしたら、いきなり、ああ」 「いきなりって、要するに道歩いてたら突然何かが現れたってわけだな?何を見たんだ?」 「そう、突然現れたんだよ!」 「だから、何がさ?」 「栗山だよ!」 「……栗山?」 「そうだよ、俺らの同級生の、あの栗山翔太なんだよ!」 「……栗山翔太?だってあいつは」 「そうだよ!もう、死んだ筈だよな。お前も知ってるだろう」 「ああ、知ってる。確かに亡くなった」 「その栗山に会っちまったんだよ!」 「まさか、そんなこと」 「本当なんだって!暗がりの中に、あいつの周りだけ、ぼうっと何やら光っててさ。目をかっと見開いて、口も大きくあけて俺の顔をじっと凝視しやがって……ああ、もう、あんな怖い顔みたことない!」 「なるほど、そりゃ、怖かったろうな。それでお前、パニクってるわけか」 「もう、誰かに話さなきゃいられなくてさ。そんで、お前に電話したんだ」 「なるほど、なるほどね……まあ、落ち着け。大した話じゃないから。慌ててると、大事なことが見えなくなるぞ」 「大した話だよ!あいつの幽霊に出会っちまったんだぞ!こんなの初めてだ。ああ、怖かった」 「とにかく落ち着けって。まあ、あいつがお前に害をなすことは無いと思うよ」 「本当にそうかなあ」 「大丈夫だって。とにかく今日のところはゆっくり寝なよ。俺も明日早いんだ」 「わかった。お前と話したらなんだか落ち着いて来た。有難う。遅くにごめん」  あいつら、肝心なことが抜けちまってるんだよなあ。ふざけ半分にバイクでチキンレースやって、二人同時に事故って死んだってのに、お互い自分が勝って相手が死んだと思いこんでやがる。自分が死んだことは、完全に忘れちまってるんだから、いい気なもんだ。まったく、毎晩両方からおんなじ話を聞かされる俺の身にもなれってんだ。明日和尚さんに電話しよう。こっちの身がもたねえ。 [了]
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