僕vs警察官

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僕vs警察官

 逮捕された後、僕は警察署の拘置所に入った。そして今、取り調べ室で警察官と対峙している。机を挟んで、気怠そうにしている五十代ぐらいの警察官がドア側、その対面に僕。 「じゃあ、始めるね。言いたくないことは無理に言わなくていいから」 「わかりました」  とは言っても、僕は訊かれたことは包み隠さず全て話すつもりだけど。それにしても優しそうな警官だな。もっと強面の人が担当するのかと思ったよ。 「まずはそうだね、君は、明智裕也君を殺したのかな?」  おお、いきなり踏み込んできたな。僕はうっとたじろぎそうになった。けど警察官の豹変した態度、じろりと僕を観察する鋭い視線に当てられて、蛇に睨まれたカエルのように体が固まる。  ただそんな簡単な質問、とっくに僕の中で返答は考えてある。それを口にするだけだ。 「いいえ、僕は裕也君を、殺していません」  警察官の目が少しだけ開いたのを僕は見逃さなかった。さっきの態度といい、目の前のこの人は少々侮れないな。むしろ都合がいいけど。  さあ、警官さんは裕也が殺されたことを証明できますか?
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