誕生日パーティー

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「超美人で、惚れ直したっす! 俺とあとでドライブしましょう。そして、エッチなホテルにしけこみましょう」 「葛西、あんたね」  葛西のうざさをどう回避しようかと考えていると、鈴城がその首をきゅっとひねった。 葛西は白目をむいている。 「本郷、悪かったな」 「鈴城さんが謝る必要はありません」  どこまでもストイックな鈴城と話していると、気分が落ち着く。 「退院したんですね」 「医師や看護師に止められたがな。幼い頃から見守ってきた碧斗さんの晴れ姿を見れるとは感激だ」 「……十八歳のパーティーのときにも同じこと言ってませんでした?」 「そうだっけか」 「そうですよ」  鈴城はたまにずれた答えを言う。 (まあ、そういうところがいいんだけど)  律子はにこにこしてしまう。 「そのドレス、」  鈴城は明後日の方向を見て言った。 「似合ってる」 (は、はあっ)  鈴城の最上級の褒め言葉に、律子は頬が熱くなるのを感じた。  でも。 (鈴城さんは優しい。でも)  着飾っていて、他の人には褒められているのに、碧斗のパーティーなのに、楽しめない自分がいた。 (碧斗さん、あたしを見て……)  着飾った自分に見惚れるまでいかなくても、止まった視線がほしい。万感を込めて、碧斗を見た。  碧斗は律子を見ることはなかった。
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