遭遇

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「ねえねえ、律子。明日か明後日くらい、一緒にお出かけしない? 甘くて冷たい甘味が食べたいの」  メイドの里美に誘われたのはそんな時期だった。 「いいわね。あたしの靴、だいぶ傷んでるから買いたい」 「あー、あんた、履きつぶしすぎよ」  ふたりともシフト制だったので、休みの希望袋に自分たちの書いたメモを放り込んだら、あっさり休みの申請が許可された。 「この靴可愛くない?」 「可愛い!」  などときゃっきゃと笑って靴屋でパンプスを買った。 「待って、律子。あたし、トイレ寄りたい」 「うん、待ってるー」  外でぷらぷらしていると、道路を挟んだ反対側に見知った顔をみつけた。 「あ、……」  なぜか、この通りの色が一気に消え失せた。  時は止まり、ここにいるのは彼と律子とのふたりだけ。  見知ったどころではない。   一柳碧斗が歩道に立っていた。
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