「八白 弥富」

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今日も私は彼女にプリントを届けに行った。 一カ月会っていなかった彼女はやせ細っていた。 お世辞にも健康とは言えない体となってしまっていた。 「毎日プリントありがとう。一カ月ぶりかな。ごめんね。迷惑かけて」 「迷惑だなんてそんなことないよ。一カ月分の勉強も教えてあげようか?」 「そこまでしてもらうのはさすがに申し訳ないよ。それより、何も聞かないんだね」 「聞いたほうが良かった?弥富は言いたかったら自分から言うでしょ。無理して言う必要もないし、私は求められた事だけでいいの」 「そうだった。碧はこういうのだった」 「こういうのってなんだよ。一カ月で忘れちゃったか?」 1カ月前のあの感じが戻ってきてほっとした。 少しばかりの沈黙が流れ、神妙な面持ちで彼女はこう切り出した。 「じゃあ聞いてもらってもいい?長くなると思うから明日の朝また家に来て」 「了解。じゃあ9時半くらいにまた来るね」 「また明日。寝坊しないでね」 「そっちこそ。また明日」
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