「八白 弥富」

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ゆったりと彼女は語った。 「私、いじめられていたの」 寝耳に水だった。そのようなそぶりは全く見せなかったし、物を無くした様子もなかった。 彼女はどこか自分を嘲笑するようにこう続けた。 「驚くのも無理はないと思うよ。私は必死に隠してきたから」 「教科書も何冊か買ったし、制服もなにもかも2セットずつ持ってた」 「さて問題です。私は今日なんで碧に話そうと思ったのでしょうか」 「それが終わったか耐えられなくなったかのどっちかだと思う」 「鋭いね~。両方とも正解をあげちゃう」 「両方?」 「先延ばしにしても仕方がないからもう言っちゃうね」 「私はいじめられて耐えきれなくなって反撃したら、少しやりすぎちゃったの」 「打ちどころが悪いって言うのかな?命の灯が消えるまであと一歩の所まで行っちゃったらしいの」 「私としては証拠も多く持っていたしあの子達の親も大ごとにはしたくないっぽかったから私は今ここにいる」 「もしかして、最近転校したマキさんとエリカさんって」 「正解。表向きには事故で入院していることになっているけどあれは全部私のせい」 「最初は向こう側も争うつもりだったんだろうけど証拠を送ったらそれ以来音沙汰はなくなっちゃった」 「これで私へのいじめは終わった。ここまでで何か質問はある?」 まだ整理がついてない頭の中で唯一出てきたのはこれしかない。 「本当になんで僕に話したの?」 「その一人称久しぶりに聞いた。混乱してるね」 「軽口はいいから。早く」 間髪入れずにそう言った。 少しの間二人に沈黙が流れた。
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