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「私は君に、碧に救われていたから。碧を世界の誰よりも信じているから。碧なら助けてくれると思ったから」
「この暗い暗いどん底から救ってくれたのは碧。私を私でいさせてくれたのも碧」
「私が隠そうと思ったのも、碧がいたからなんだよ。碧は冷淡だと言われることが多いけど私はそうは思わない」
「誰よりも優しい。誰よりも他者を気遣う心を持ってる。でも誰よりももろい」
「自分がきっかけで私がいじめられていることを知ったら碧は壊れちゃうと思った」
「だから必死に隠した。あいつらの醜い嫉妬を必死に隠した」
「私がここに来た理由知ってる?向こうでもいじめられていたから。立ち向かわずに逃げてきたから。手遅れだったからここに来たの」
「そうやって逃げたここでも私はいじめられた。理由を聞いて人間に失望したよ。付き合ってもいない人とあらぬ疑いをかけられていじめられるんだから」
泣きそうな声で弥富はまくしたてる。僕は弥富の顔を見ることができなかった。
「普通に考えたら、あの時碧と縁を切っていればここまでにはならなかったのかもしれない。でも私にはできなかった。碧と話しているのは楽しかったから。碧といる時間は楽しかったから」
「私は碧が好き。碧が好きだから隠した。碧が好きだから今話してる」
すがるような声で彼女は言った。
「碧は?碧はどうなの?私の事をどう思ってるの?」
二つの大きな告白を受けた僕は戸惑うしかなかった。
僕はその日結論を出すことができなかった。
一週間後にあらためて返事をする約束をどうにかつけて解散となった。
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