10人が本棚に入れています
本棚に追加
「イツキには他に好きな人がいるんじゃないかって……思ってるの」
《なぜそう思うのですか?》
「えーっと……それは……1ヶ月前なんだけど……」
アカリは徐々に声を落とし、言葉を詰まらせた。
《どうしたのですか? 顔が赤いですよ?》
「イツキとのエッチ後の話だから、恥ずかしい……」
アカリは気まずさを隠せずに口元を尖らせた。たとえ相手が神であっても、性に関する事情を他人に話すのは難しい。
《なんだ、性交後の話ですか。性交や後尾は生物の子孫繁栄のために必要な行いで、恥ずかしいものではないでしょう。やっぱり最近の人間は理解できませんね。やれやれ》
ツクヨミの冷静な応答がアカリの恥ずかしさを和らげた。
「うるさいわね! 現代人はデリケートなのよっ! エッチした後、イツキの背中にキスマークらしき赤いアザを見たって、堂々と言えるわけないじゃない!」
アカリは腕を振り回しながら全力でそう叫んだ。
「あの、イツキさん。実はアカリのことなんですが……」
母の言葉が耳に入ると、アカリは彼女のほうに視線を向け、思わず唾を飲み込んだ。
最初のコメントを投稿しよう!