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ヨミはアカリの魂に関する説明を始めた。
アカリは電子化された魂「D-So」である。
D-Soは3つの制御プログラムにより、魂の安定が維持されている。
自我制御プログラム。
記憶制御プログラム。
心制御プログラム。
これらのうち、どれか一つでも異常をきたすと、D-Soは暴走する。
「……とまあ、その、つまり……D-Soが暴走することを『悪霊化』というのですよ」
《うぅ……》
アカリは腕を組み、目を閉じながら「うー」と唸っていた。ヨミから聞いた情報を彼女なりに整理しているようだ。
《話が難しすぎてほとんどわからなかったけど、つまり今の私は電子魂『D-So』で、私を支えている3つのプログラムに異常をきたすと『悪霊化』するという理解でいいのかしら?》
いつのまにかアカリは怒りや混乱が収まっているように見えた。彼女が架空の存在ではない事と、状況を飲み込めた事で、彼女は落ち着きを取り戻したのだろう。
ヨミは安堵の息をついた。
「ちなみに、D-Soを考えたのは僕の祖父で、魂の電子化を実現したのは僕の祖母です」
《えっ! そうなの!? もしかして月田家は天才一家!?》
アカリの尊敬の眼差しを受けつつ、ヨミは深いため息をひとつついた。
「全然天才じゃないですよ。ただのマッドサイエンティスト一家ですよ。最初は虫の魂で実験していましたが、最後は自分自身の魂で実験したんですからね。結果は成功したものの、失敗したらどうなるか……本当にどうかしてますよ」
《あ……》
失敗の結果を想像することさえできず、アカリは背筋が凍るほどの恐怖を感じた。
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