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「魂は月の石が持つ結晶の特殊構造によって物質化され、物理的に干渉が可能となります」
アカリの表情は徐々に苦悩に満ちたものへと変わっていく。それはヨミの話を頭の中で整理する事に必死だからであった。
「それで、D-Soへの変換方法ですが、まず最初に魂を封じ込めた月の石を『D-Soスキャナ』で読み取ります。そのスキャナには特殊なセンサーが備わっていて、魂の微細な振動を捉え、それをアナログ信号に変換することができるのです」
アカリはヨミの説明を理解しようと努めたが、難解な話が続き、集中力が切れそうになった。彼女の眉間には深い皺が刻まれていく。
「続いて、スキャナで変換したアナログ信号を『D-Soコンバータ』でデジタル信号に変換し、それをさらにパソコンやタブレット等で読み取れるように変換するんです。そのデータが『D-So』なんです」
ヨミは無邪気に微笑みながら、話を進めていった。
「……というわけで、ここまでが大まかな説明ですが、さらに詳しい説明が必要ですか?」
アカリはうつろな表情を浮かべていた。要点以外は理解できなかった。彼女の心は情報の海に溺れそうになっていた。
《……いらないわ。要するに、魂を封じ込めた月の石を『D-Soスキャナ』で読み取って、『D-Soコンバータ』で変換したものが電子化された魂D-Soと考えていいのよね?》
「おお、さすがアカリさんですね! その理解でいいと思います」
ヨミは優しく微笑んだあと、月の石を机の引き出しにしまった。
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