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アカリは視線をヨミに向けた。
《ねえ、今の話を聞いて気になったのだけど……私の魂をD-Soに変換したのは、ヨミなの……?》
アカリの声は震えていた。それは恐怖からくるものではなく、新たな真実に触れるかもしれないという予感から生じるものだった。
アカリは交通事故で命を落とした。アカリの目の前に車が現れた瞬間、彼女の意識は突然途絶えた。それからヨミの創ったプログラム世界で目覚め、悪霊相談所にたどり着いた。
ヨミの話が事実であれば、アカリの魂をD-So化させたのは彼の可能性が非常に高い。しかし仮にそうだとしたら、その目的が見えてこない。
ヨミはD-Soを創り出した彼の祖父母を「マッドサイエンティストだ、どうかしている」と吐き捨てた。
初めて会ったその時から、ヨミから悪意は感じられなかった。
だからこそアカリは全てを知りたかった。
アカリの疑問を感じ取ったヨミは、複雑な感情を表情に滲ませた。
「アカリさん。ここから先はアカリさんにとって、悲しい話が続きます。きっとD-Soの制御プログラムが乱れるほどだと思います」
ヨミの声は静かでありながら、その中には重大な意味が込められていた。
「まず最初に言っておきます。アカリさんをD-So化したのは、僕ではありません。僕には不可能なのです」
ヨミの否定を聞き、アカリは一瞬の安堵を感じた。しかし、その安堵は束の間、再び疑念の影が彼女の心を覆った。
D-Soは想像を絶するほどの最先端のテクノロジーではあるが、それを知る人物は限られているはずである。こんなにも印象に残るような驚異的な発明をメディアや研究者たちが見過ごすはずがない。アカリはサイトニュースを細目にチェックしていたが、D-Soの話なんて一度も見聞きしなかった。
アカリをD-So化したのは、ヨミの家族か、親族か、それとも彼らが心を許した他の人物か。アカリの心は疑問符で溢れていた。
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