月の神様?

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月の神様?

「悪霊相談所?」 「はい」  闇の世界にただ一つ存在する『悪霊相談所』。  机の上のろうそくの光が、険しい顔つきのアカリと笑顔を浮かべた紳士を照らしていた。 「まあ、その……悪霊相談所については後で聞く事にして……アナタの名前は?」 「おっと、これは失礼しました」  紳士は組んでいた両手を解き、右手を胸にあてた。 「僕は月の神です。そう、『ツクヨミ』とお呼びください」 「月の神? アナタは神様なの?」  ツクヨミは軽くうなずいたあと、両手を机の上で組んだ。 「アカリさんは神話をご存知ですか?」 「大学で考古学を学んでた友達から、少し聞いた事があるわ。たしか私の国の神話には八百万の神々がいたのよね? 太陽の神とか、月の神とか……」 「僕はそういう存在です」  アカリは頬に手を添えながら、目を細める。 「なんか胡散臭いわね。神様ってもっとこう……頭の横にお団子を結えて、白装束を着て、神々しい光を放つもんじゃないの? アナタを見てると、私たち人間とそんなに変わらないように見えるけど?」  アカリの疑念の視線を受け、ツクヨミは頭を振りながら大きなため息をついた。 「やれやれ。昔の人間は神を畏れ敬い、かわいげがあったのに。最近の人間は本当にかわいくないですね」 「『これだから最近の若い者は』みたいなノリで、現代人の批判をするのをやめてくれる?」  アカリはツクヨミが月の神である事を疑ってはいるものの、彼が人間を超えた存在であろう事は薄々と感じていた。
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