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サイドA プロローグ
山井彰はホープ研究所で新しいワクチンの開発を進めている。今人類は危機に瀕していた。人類が謳歌した時代が終わろうとしているのである。原因はKウイルス。このウイルスが登場して人類の大半が死亡した。最初は風邪に似た症状だった。くしゃみや熱の症状。これは彰達の開発したホープワクチンにより鎮静化した。
しかし、その数年後同じようにKウイルスが進化したK2ウイルスが猛威を振るう。今度は症状に身体中が腫れ上がるという恐ろしいものになる。なんとかホープワクチンⅡ型の開発に成功。半数以上の人類が尊い命を落としたがこの状況に歯止めをかけた。喜んだ人類はⅡ型を打ち続けた。K2ウイルスとの戦いも終わったかにみえた。
だが、悲劇はまた一年後に待っていた。K2ウイルスを越える恐ろしきK3ウイルスが誕生したのだ。このウイルスに感染した場合腫れと同時に高熱に犯され三日と持たず命を落とす。研究所の仲間たちも何名か命を落とした。世界は混乱を起こす。何か滅ぼされる理由でもあるのかと彰は頭を抱えた。もう迂闊に外に出るのも危険なレベルまで来ている。人類は怯えそしてホープ研究所で新たなワクチンが開発されることを祈った。
「彰、原因は分かるか? 嘲笑うかのようにこのKウイルスは常に変化する。今開発中のワクチンも、もしかすると数年後にはK4が誕生するかも知れない。変化が早すぎる」
所長の神蔵が問うた。
「まだ、はっきり分かりませんが……でもここで開発しなければ世界は終わってしまう」
彰はそう伝えた。
それから彰は幾日も開発のために身を投げ出した。しかし、このKウイルスの進化に終わりはあるのかと疑念に駆られながら電子顕微鏡を日々覗いていた。
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