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サイドB 悪化
とうとうイロウが進化した。だが今までとは違い急激な進化ではなかった。増殖をし始めてはいるがなんとか踏み止まることは出来た。しかし、プレベで押さえる効果がほとんど効かなくなってきている。もう決壊仕掛けているのは事実だ。
ただ発熱を誘発させればイロウを押さえること、それ以上に死滅させることが出来るのは分かっている。しかし、限界値があるのだ。
──四十三度──
それ以上は葵唯の正常な細胞が不可逆的反応を起こす可能性がある。いやこの体温でもはっきり言えば危険だ。
「どうすればいいんだろう?」
冴子は頭を悩ませた。この次の一手を開発出来るかどうかなのだが。時間の猶予はもうほとんどない。これ以上は時間を延ばせば葵唯の身体が持たない。イロウ細胞の増殖を誘発する核さえ破壊出来れば問題ないのだが、それが葵唯の心臓にあることが一番の懸念材料なのだ。
このプレベの再改良型は一応は完成している。ただしあくまでもイロウの核を破壊できることは確信している。ただこれは諸刃の剣なのだ。葵唯の身体が持つかどうか分からない。持たない可能性の方が高い。躊躇う冴子。
──私はあくまで葵唯を救うために戦ってきた。イロウを破壊するために戦ってきた訳じゃない。このままじゃ助かる可能性は低すぎる。どうすれば……どうすれば……でも、もう時間がない──
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