サイドB 終わらない戦い

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サイドB 終わらない戦い

 冴子と葵唯は病室で話していた。 「どう? 体調の方は?」 「うん、今日はいい方かな」  冴えない顔で俯き加減で話す葵唯。 「今日の分のお薬は飲んだの?」 「うん、あれから随分楽にはなったんだけど……でも冴子先生、私もうだめなんでしょう? 先生がこれだけ頑張ってくれてるのにちっとも良くならない。なんとかお薬で押さえてるみたいだけどきっとまた悪くなる気がする。私自身、私の身体がもう耐えられないみたい」  葵唯はベッドに横になり冴子に背を向けた。 「葵唯ちゃん、先生頑張るから。きっと葵唯ちゃんを治してみせるから」  冴子も塞いだ顔をした。 「いいよ、先生。私もう疲れちゃったから。このまま、もうそっとして欲しい」 「そんなこと言わな……」 「もういいって!! いつも期待させて今度わって言ってくれるけど何も変わらないじゃん! ただ苦しいのを延ばされてさぁ! 本当は先生も試したいんでしょう? いいモルモットだもんね、私なんか……」  本当はそんなこと思ってもいない葵唯だがありにも苦しい日々が続き、暴言を吐いた。 「葵唯ちゃん、先生そんなこと思ってないよ。先生も……」  言葉が続かない。誰よりも葵唯の苦しみを分かっているからだ。ただ葵唯が言っていることも事実。自信を持って開発したプレベもことごとく打ち破られた。改良型でなんとか押さえてる状況だが、いつイロウが進化するかも分からない。どす黒い塊が葵唯の身体をいつ勢いよく犯すかも分からない。ギリギリの所で踏ん張っているだけなのだ。冴子は席を立ち部屋を出ようとする。 「頑張るからね……葵唯ちゃん」  背を向けたまま葵唯は泣きはらした。 「ごめんね、先生……」
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