静かなパニック

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英語の時間。今日は、外国のアニメ映画を日本語字幕で英語音声のまま聞くという内容だった。 教室のカーテンは全て閉められ、電気も消されてしまった。 梅雨時のせいもあって、今日は朝から外が薄暗かった。教室のカーテンを閉め切ってしまえば、遮光カーテンじゃないにしても室内はかなり暗くなる。 真っ暗闇と言わないまでも、晴れの日よりも随分と暗い。席が後方の私のところまで、テレビの明かりが届くかといえばそんなこともなくて。 遠くでテレビが光っているだけ、カーテンの隙間からほんのちょっぴりだけ外が見えるだけの教室で、どのくらい耐えられるか自分でも未知数だった。 「後ろの席の人、見える? 山岸(やまぎし)さん、見えてる?」 先生に呼ばれ、私は慌てて数回頷く。 先生はテレビのリモコンを操作し、映画を再生させた。 字幕を読んで気を紛らわせようとしていたが、物の数分で疲れてしまった。字幕が小さすぎる。 どうしよう、手が冷たくなってきた。 鼓動が早くなってくる。 せめて窓際ならカーテンの外を覗けたかもしれないのに。 「なぁ、山岸。……って、どうした? 顔色悪い?」 小声で話しかけて来た日南君に顔を覗き込まれた。 不意打ちに心臓が跳ね、思わずあからさまに体を離してしまった。 「く、暗いからそう見えるだけでしょ」 私はいつもの無表情で答える。少しだけ言葉に詰まってしまった。 暗くてよく見えないせいなのか、日南君は穴が開きそうなほど私を見て来る。彼の顔がはっきり見えたならば、きっと怪訝そうな顔をしているのだろう。
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