静かなパニック

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「本当に大丈夫か? 調子悪い?」 「全然、何ともない」 嘘。本当は吐き出す息が震えている。手が小刻みに震えている。今にも涙が出そうで落ち着かない。 自分でもパニックになり始めていることに気付いている。なり始めているというか、もうなっているというか。 ダメだ、思考が纏まらなくなってきた。 「なぁ、やっぱおかしいって」 「なんでも、ないよ。大丈夫だから」 平静を装いたいのに、声が震えてしまった。 気付かれてしまう。心配をかけてしまう。迷惑をかけてしまう。 無表情で不愛想な私にも笑って話しかけてくれる彼に、嫌われたくない。 怖い。 暗いのが怖い。 嫌われるのが怖い。 怖い、こわい、こわい……。 「ちょっと待ってて」 小さな声が聞こえ、日南君が席を立った。 どこへ行くのかと目で追っていれば、日南君は先生がいる教卓へ向かった。先生に何か話している。先生がこっちを見た。日南君に視線を戻して短く何かを言いながら数度頷いた。 日南君が戻って来たかと思えば、私の手を取って立たせた。 「え、ちょ」 私は訳が分からないまま、教室の外へ連れて行かれた。
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