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最強で最高の双子の話
...俺達双子は今日、人生で1度か2度かってくらいの勝負をする。
「これで決まるね、全て」
「ああ、この勝負で全て決まる」
......それは...
「 俺たち2人のどちらが、彼女と付き合うか 」
俺たちは双子だった。
生まれついてから仲は良くて、顔も頭の良さもほとんど一緒。
__ただ一つ違うのは、性格だけ。
俺ら双子のうち、俺.......「雪道」はバスケが得意で勝ち気な性格、
そして兄弟である「雪人」は優等生でもあり、内気な性格だった。
......でも、
その悲劇が起こったのは、今から一ヶ月前のこと。
図書館にいつも通い詰めている、高校生らしき女の子。
長い黒髪とスカートを揺らしながら歩くその子に、俺達2人は恋に落ちた。
落ちてしまった。
俺達がもし他人だったなのなら、どれだけ幸せだっただろうか。
「言っとくがな雪人。俺が勝つ」
「いいや、勝つのは僕だよ」
「............ま、とりあえずじゃんけんで勝負するか」
「いいね、じゃんけんだと運に頼り切った、正当な勝負だ」
「だろ?ったく、優等生ぶりやがって......じゃーんけーん、」
ぽん。
「............」
「............まあ、最初はね、」
あいこだった。
気を取り直して、もう一度。
「あーいこーで、」
しょ。
「............」
「............」
あいこだった。
_____________
〜1時間後〜
「あーいこーで、」
しょ。
「................」
「................」
かれこれ、これで123回目のあいことなる。
ここまでくると笑いが抑えられずに、2人一緒に震えていた。
そうさ、どうして忘れていたのだろう、
『...僕らは双子だ』
声が重なる。
2人で笑った。
「......なあ雪人、分かってんだろ?この勝負を解決する方法」
「勿論だよ雪道、」
そうして2人が出した答えはこうだ。
___『2人とも、彼女とは付き合わない』
また声が重なる。
そしてふたりとも笑う。
今度は大声で。
これが今で言う「ハモる」とかいうやつだろう。
平行線で生きていくことを約束した、ふたりで。
彼女とは永遠の「友達」
でい続けるってね。
「次図書館に行ったときに、彼女と一緒に遊ぶ約束を持ちかけようよ、」
「そうだな、」
「彼女、喜んでくれるかなあ」
「おいおい雪人、抜け駆けはするなよ?」
「するはずないじゃないか、」
__だって僕らは、最強で最高の__
世界1の、双子なんだから。
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