プロローグ

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「星宗さまー、星宗さまー。お客様ですよー」  後ろの方からスタスタと歩きながら、老婆の呼び声が鳴り響く。  一体。星宗さまはどこにいるのだろう?  確か、星宗さまは聞くところによると、とても綺麗な妙齢の女性だということだった。  あるいは、こうも聞いている。  年端のいかない絶世の美少女だとも。  もう一つ噂がある。  絶世の美女だが、両目とも目が見えないのだそうだ。  あとは、こうも言われている。  本当は星宗という女は、存在すらしていないのでは……とも……。まるで、邪馬台国の卑弥呼のような存在だ。  梶野が星降埜神社の最奥に差し掛かると、辺りは急に薄暗くなった。  と、その時。  ポーンっと、ボールが高く跳ねる音がした。  音の在処を探し当てようとすると……。  軽い着地音の後に、コロコロと手鞠がこちらへ転がって来た。 「おおっ! ここにいましたね! それにしても、なんとも御美しい」  梶野は正直にそう思った。  丁度、廊下に垂れ下がる紅い木の傍で、佇んでいる巫女装束の女がいた。  きっと、彼女が噂の星宗だろう。   「あら? どちらさまで? ここへは神威しか入れないのですが?」 「神威?」 「ええ。そうですよ。ほら、あなたの後ろに……」 「え? ええと……ひっ! ひええええ!!」  梶野の後ろには、目を大きく開けても、その全体が収まらないほどの恐ろしく巨大で、神々しい淡い光を纏った人がいた。だが、それと同時に、巨大な人が梶野を睨むと、その光がなんとも恐ろしいギラギラしとした照射へと変わり。  やがて、光は梶野をゆっくりと包み込んでしまった……。
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