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また猫と
行きつけの本屋が西太子堂にある。
置いてある本はかならずどこかに猫がいる。
そして猫たちが店内で遊んだり喧嘩したり寝ていたりする。
ビールが飲める。しかも美味しい。
コーヒーは飲んだことがないけれど美味しいらしい。
でも猫カフェではない。純然たる本屋だから、本を購入しない限りはビールもコーヒーも飲めない。
店主(ニンゲン)は一見気難しいが、じつはとてもお茶目でチャーミングな方で、ビブリオバトルでは負け知らず。奥様もピンクハウスがお似合いのとてもステキな方である。
この本屋の店主(ニンゲン)が企画して、歌人の仁尾 智さんの歌集を雷鳥社さんから出版した。
それが『また猫と』という本である。
タイトルで伝わるかもしれないが、これは猫を亡くしたときの諸々の想いを書き留めた歌集だ。
もちろん猫と暮らした、そして今も猫と暮らすものとして、共感できるところも多々多々あれど、結局はやはり仁尾さんの、仁尾さんだけの想いが、冬のひだまりのように、すこしずつ濃くなっていく黒い雲のように、とつぜんずぶ濡れになる驟雨のように、そこにうずくまって泣いている。
慰めたいけれど、励ましたいけれど、それが届かないこともわかるし、ただウザいだけかもしれないなという危惧もある。
それでもなお『あぁ、仁尾さん、そうだよね。あのときとてもツラくて苦しくて、今だって思い出すと泣いちゃうけれど、でもそれでも、猫と暮らしてる。また失うとわかっていても、それでも』とつい言いたくなってしまう……あぁ、ウザい人かもな、と思いつつ。
だから言わずに、ここに書くことにした。
そして、すこしずつかたちのちがう悲しみを抱いたもの同士がこの本に集って、なんとなくぼんやりとでも互いの想いを通わせて、『また猫と、これからも猫と』と、おとがいをあげられれば、不遇をかこつ猫の何匹かでも、安住の地を見つけることができる。
だから『また猫と』があまたの猫好きの眼にとまり、読んでもらえるように祈ります。
がんばれ店主(ニンゲン)! そして仁尾さん! いつも応援しております。
ちなみにくだんのお店の名前は『Cats Meow Books』といいます。
三軒茶屋や西太子堂にお越しの際はぜひ、本を、よろしければ『また猫と』を買いに行ってみてくださいませ〜。
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