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7、死ねばいいのに
私は、自分が善悪の判断がつく程度には大人だと思っていたが、他の大人や親に頼ればいいという考えが思い浮かばない程度にも子供だった。
親に心配をかけたくない。
いいお姉ちゃんでいたい。
いい生徒でいたい。
そういった思いが、私の口を塞いでいた。
前の学校で歳の離れた兄弟がいるせいかとても大人の考えができる、私にとってはお姉さんのような友達がいた。
貴子ちゃんだ。
絵を描くことと読書が好きな、とても頭の良い子だ。
たーこちゃんはいつもこういった。
『意地悪をする人は、それが悪いことだって誰も教えてくれなかったかわいそうな人なんだよ。だから許してあげるのよ』
私は、そんな考え方ができるたーこちゃんがすごいなと一目置いていた。
美少女戦士の参謀にふさわしい。
私には正直『同情』や『慈悲』はよくわからなかった。
今だってそうだ。
浜田センセイが、暴力が悪いことだと誰も教えてくれなかったかわいそうな人だとは思えなかった。
大人なのに、先生なのにそんなこともわからないはずがない。
(罪を憎んで人を憎まずなんて、私にはできない。
許せないなんて考えは、悪役みたいだ)
正義の味方にもなれず、慈悲深い聖母にもなれず、理想からどんどん離れていく自分を転校前のようには好きになれなかった。
(明日になったら、浜田センセイがいなくなればいい。死ねばいいのに……)
そして、私は初めて人の死を願った。
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