OXYGEN

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(dom/subユニバースの設定をご存知の方は読み流していただいても構いませんが、こちらの作品はglareに種類がありますので一読いただけると幸いです)  dom(ドム)―それは支配的欲求を持つ性。『支配したい』『甘やかしたい』『褒めたい』『信頼してほしい』『躾けたい』『お仕置きしたい』などの欲求を持つ。  sub(サブ)―それはdomと対になる性。『支配されたい』『甘やかされたい』『褒められたい』『信頼したい』『躾けてほしい』『お仕置きされたい』など被支配的欲求を持つ。  そのどちらにもなれる性をswitch(スイッチ)、どちらでもない性をneutral(ニュートラル)という。この四つをあわせてダイナミクス性と呼ぶ。  思春期頃に現れ、中学卒業時に検査が行われる。そのときダイナミクス性をコントロールするための薬、抑制剤が配られる。  この欲求はdom/sub間のplay(プレイ)と呼ばれるコミュニケーションで解消される。playではdomが『kneel(跪け おすわり)』『come(来い おいで)』などのcommand(コマンド)という命令を出してsubがそれに従うというスタイルが一般的だが、個々人によりその内容は異なる。  subがcommandに従えない、いやだと思ったときの命綱となる言葉をsafeword(セーフワード)といい、これが出されたらdomは一切のplayを止めなければならない。大切なのは信頼関係だ。  信頼で結ばれたplayでは、subはsubspace(サブスペース)と呼ばれる幸せの境地に至ることができる。subがdomに自身のコントロール権を明け渡した状態で、domは責任を持ってsu.bが正気に戻るまでコントロール権を握っていないといけない。  信頼関係のないplayやsafewordの無視には、危険なことが潜んでいる。それがsubdrop(サブドロップ)だ。subが恐慌状態になり、最悪の場合死に至ることもある。  ここから抜け出すには信頼できるdomからのaftercare(アフターケア)が必須。aftercareとはsubを癒すplayのことで、これも個々人により差がある。subが喜ぶことをするのが絶対原則だ。  subdropは他にも、威圧のglare(グレア)にあてられることによって引き起こされるものもある。症状や対処法は同じだ。  glareとはdomの出すオーラや圧力のようなもので、二つの種類がある。subdropを起こすことがある威圧のglareと、subに安心感を与える庇護のglareだ。  威圧のglareは支配しようとする気持ちが前面に押し出されたもので、庇護のglareは護ろうとする気持ちが前面に押し出されたものだ。庇護のglareはaftercareで使用されることも多い。  また、domは自分のsubが害されたと感じたときglareを発することがある。これをdefense(ディフェンス)と呼び、どちらのglareも発せられる可能性がある。  ダイナミクス性の欲求が解消されないと、精神不調や体調不良につながる。養護教諭が心配したのはこれだ。  あのときは大丈夫だと言ったが、ソウに定期的にplayするパートナーがいないのもまた事実。 薬で無理やりダイナミクス性を抑えているのも事実。なんならplay自体やったことない。公的な機関でplayをしてもいいが、そんな気も起こらずずるずると今日まで生きてきた。  ソウは天井を見つめていた目をそっと閉じる。あと15分ぐらいあるか。寝よう。
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