第一章 鷹村 翔太

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 六歳だけれど、割合しっかりした子なので、やっぱり一人で家に戻ったのだろうと信じて、足早で戻り、家の玄関の前で立ち止まった。  そのとき、スマホがポケットの中で振動した。  いきなりだったので、ビクッと体が震えた。慌ててスマホを取り出すと、スマホの画面に三善さんの名前が表示されていた。  出ると、三善さんが元気な声で訊ねてきた。 「すみません、三時なんですが、お帰りは時間がかかりそうですか?」  腕時計を確かめるとすでに十五分過ぎていた。 「あ、すみません。今家の前にいるんですけど、息子がいなくなっちゃって」 「今、家の前にいらっしゃるんですか?」 「ほんと、すみません。もう少し母を見ていてもらえますか?」 「分かりました」  三善さんは私のいいわけを聞くこともなく、もう少し時間を延ばしてくれると快諾してくれた。この後に行くだろう訪問先があるだろうに、ますます私は焦って、今来た道を引き返した。  どうか、公園に戻っていてくれと祈りながら走っていると、あの丁字路に差し掛かった。  子供があの空き家の門の前に佇んでいる。 「隼也!」  私は隼也に寄っていって、もう一度呼びかけた。  隼也が私を見上げて、笑顔を浮かべる。 「今までどこにいたんだ!」  やっと見つかったことに安堵したが、どうしても怒鳴らずにはいられなかった。 「なんで公園から出たんだ、探したんだぞ!」  私の顔を不思議そうに眺めていたが、隼也は嬉しそうに答える。 「あのね、影の人がここにおいでって」
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