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それまでは気まぐれに隼也のことを見て見ぬ振りをしていたのに、今日は熱心に遊びを教えている。
それは私が幼い頃に母が教えてくれた遊びだった。
「翔ちゃんは上手ねぇ」
母は隼也を私だと思っているようだった。翔ちゃんと呼ばれても隼也は素直に喜んでいる。母の目には隼也は私に見えるのだろう。
午前中は何度も繰り返される母の思い出話を聞いて過ごした。
アルバムがあると言って、仏間に入っていった母が、困った様子で引き出しを片っ端から開けて中を物色している。
「どうしたの」
「お父さん、翔ちゃんの小さい頃のアルバム、どこにやったのかしら」
「アルバム?」
「そう。赤ちゃんから小学校に上がるまでの翔ちゃんの写真」
思い起こせば、両親はことあるごとに私の姿を記録していてくれた。同じような写真もあった記憶がある。
いっしょに仏間を探していて、仏壇下の用具入れにアルバムがあるのを見つけた。
「こんなところにあったよ」
「ああ、そうだったわねぇ。大事なものだから、そこに仕舞ったんだった」
アルバムを持って、リビングに戻る。テーブルにアルバムを広げると、隼也と二人で、写真に関する母の解説に耳を傾けた。
シールなどを使って、「翔ちゃんの誕生日」「翔ちゃんのお遊戯会」というタイトルを付けてあった。私が反抗して家を出るまでのアルバムがちゃんと残されていて、なんとなく気恥ずかしくなった。
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