3人が本棚に入れています
本棚に追加
第10話 <終>おまじないからの卒業
私は、卒業式で泣いた。
一年前は、転校してきたばかりで友達もいなく、暴力教師にしばしば殴られていた。
だから、卒業の別れを惜しんで泣くことなどないと思っていた。
しかし、クラスメイトと仲良くなり、友達も多くでき、バスケのチームメイトもできた。
(ほとんど、中学へ持ち上がりなのになんでこんなに涙が出るのかな? 神ちゃんクラスがバラバラになってしまうことが寂しい……)
私の目からは、涙があふれ止まらなかった。
*
気がつけば、いつの間にか人気者になれる星型のお守りが入っている胸のポケットを触らなくなっていた。
お守りは、もう役目を終えていた。
私は、卒業式が終わると校門の脇にある金木犀の木の下に、白い封筒に入れてそのお守りを埋めた。
冬なので、花はないものの緑の葉は残っていた。
おまじないを終えるときは、白い封筒に入れて川に流すか、土に埋めると本に書いてあった。
私はお守りに土をかぶせた後、手を合わせた。
それは感謝の気持ちからだった。
6年生というのは、おまじないを信じるほど子供ではないが、おまじないにすがりたいくらいには子供なのだ。
けれど、私はもう中学生になる。
私は、金木犀を見るたびに思い出すだろう。
一人だった自分を。
そして、一人ではない自分を。
お わ り
* * *
前日談が知りたい方はこちらをどうぞ。→https://estar.jp/novels/26234254
小5の話「美少女戦士になれなかった私は聖母の笑みで断罪する」
中一の話、小4の話を準備中です。
最初のコメントを投稿しよう!