地の奥底に眠るモノ

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地の奥底に眠るモノ

 小さな苗木はすくすくと育ち、大きな土竜豆の樹となった。  春は無数の花を咲かせて街の人々の目を楽しませ、夏は青々とした葉を茂らせて街の人々に憩いの場を提供している。  街は大きくなり、穴の周りにも家が立ち並び、かつてむき出しの地面だった穴の上もアスファルトで覆われたが、樹は大切にされ、周囲は小さな公園となっていた。  そしてある日のこと。  ちょっとしたニュースが全世界をかけめぐった。 『ザー……ハディーカ市郊外の公園で、落ち葉で焚火をした市民が体調を崩すケースが相次ぎ……ザザッ…調査の結果、公園の……ザー……樹から多量の毒物が……ザザッ……その毒物は化学兵器の主成分とされ……ザザッ……地中からは子供と見られる白骨……ザー……』  数十年の時を経て大地に根を張った土竜豆の樹は、人間たちが地中深くに埋めて隠したつもりのモノを探り当て、地上に吸い上げた。  この騒動をきっかけに、かつて政府が行ったものの「証拠がない」として闇に葬り去られていた、とある虐殺事件の真相の、ごくごく一部が解明されたのは、また別の物語。 ――ねえ、しってる? あのきのしたにはね、えらいひとのひみつがうまってるんだよ?
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