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☆☆☆
「カリギュラ効果って知ってるか?」
黒いランドセルを背負った男子小学生の一人が、そんなことを突然言った。
彼らが通う天命小学校へ登校中での一幕だ。
「は?」と、別の男子小学生一人の声と共に、一緒に登校していた七人の男女小学生たちが、突然訳の分からないこと言い放った男子小学生の方へと振り向いた。
キョトンと振り向いた七人の顔を流し見て、その男子小学生は軽くため息を吐く。
「その様子だと、知らないみたいだな」そして、そう言った。
反応したのは、オレンジ色の派手なランドセルを背負っている女の子だった。
「なになにっ!? また、ソラランの心理学タイム? 聞きたい聞きたい!!」
どうやら、興味津々の様子。
「えーっと、何だっけ? かり……かりん……かりんとう効果だっけ!?」
「カリギュラ効果だよ、ミカン」と、これまた溜め息混じりに、黒いランドセルを背負った、ソラランと呼ばれる男子小学生が訂正した。
「それそれ! かりぎゅらかりぎゅら! ていうか、かりんとうって甘くて美味しいよね!!」
「こらこらミカン、また話逸れてるよ」眼鏡をかけた、青色のランドセルを背負っている男子小学生が、そう注意を促す。
「あ、いけないいけない」
「思ったことをすぐ口に出して、話をごちゃごちゃにしてしまうのは、ミカンの悪い癖だよ? 治さないと」
「はぁーい、すみませーん」
何一つ反省していないことが伝わる空返事をする、オレンジ色のランドセルを背負ったミカンと呼ばれる女子小学生。
当然、注意を促した青色のランドセルの男子小学生にも、それは伝わる。
「やれやれ、のれんに腕押し、ぬかに釘、馬の耳に念仏だね……」と、小さく頭を抱えて呟いた。
「ちゅーか、ウチも気になるわ。何やの? そのカリギュラ効果っちゅうんは。えらいイカつそうでカッコイイ名前してるみたいやけど……」
するとここで、関西弁で藍色のランドセルを背負った女子小学生が口を開いた。
「私も気になります。ソラさんが、こういう時に意味のないこと言う人ではないと知っていますから。どういう意味なのか、興味津々です」
紫色のランドセルを背負った女子小学生も、そう続く。
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