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ソラ対ライオンの長、一騎打ちの形だ。
誇り高きリーダーの戦闘を邪魔する輩などいない。
ソラに取っては、願ってもない状況となった。
しかし、それは逆に、残りのライオンたちのキバがすべて、アカリに向けられることを意味する。
「アカリ」
「大丈夫……凌ぐだけなら何とかなるわ」
息を切らしながら、強がるように笑みを浮かべ、アカリは言う。
「きっと……トップを倒せば、このライオンたちも引き下がるはず……出来るかぎり速く、頼んだわよ」
「…………おう!」
ソラが構える。
これまでのライオンとは、大きさも、身体についた傷も、そして……その禍々しい威圧感も、まったく違う。
そんなライオンの長と向かい合う。
「グ……グルルルァァアアァアアアァアーッ!!」
凄まじい咆哮。
それと同時に、ライオンの長が動き、残りのライオンたちが一斉にアカリへと飛び掛る。
ライオンの長の動きは――――
「速っ!?」
ソラは、両手でライオンの長の両目を遮り、横に動くことで何とかその突進を回避する。
隙あり。
渾身の蹴りを、横っ腹に叩き込む。
しかし――
「ガルルルルルル……」
ライオンの長は、ビクともしない。
間合いを取り、沈黙が訪れる。
その間、アカリの方から「ぐぅっ!!」という声が聞こえた。
反射的に、そちらへ目を向けてしまうソラ。
そこには、左腕と右ふくらはぎを噛まれ、血を流すアカリの姿があった。
「こ……のぉ!!」
アカリはその体勢のまま、身体をふわりと動かし、それぞれ噛み付いているライオンを、他に襲いかかってくるライオンにぶつけ、一気に四頭のライオンを気絶へと追い込んだ。
だが、流れる血が多過ぎる。
「くそっ……」片膝をつくアカリ。
疲労困憊の彼女に、容赦なく次なる牙が襲い掛かろうとしている。
「アカリッ!!」
「グオオォオオオオォオオーッ!!」
「鬱陶しいなぁ! このボケェ!!」
ソラが援護に向かおうにも、目の前にはライオンの長。
動けない。
迫ってくるライオンの長の攻撃を躱し、反撃をするので手一杯だった。
アカリはもう限界だ――――どうする!?
オレは――――どうすれば良い!?
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