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襲い来るライオンの牙の前に、アカリにはもう為す術がなかった。
反撃する気力もない、格好の獲物。
しかし……当の本人には、絶望の色は見られない。
それどころか……ニコリと笑っていた。
その表情のまま呟く。
「なぁーんだ……やっぱりついてきてたんだ――――あんたたち」
次の瞬間、アカリに襲い掛かろうとしていた二頭のライオンが白目を剥いて気絶した。
一頭は、スタンガンでの感電。
一頭は、長い木の棒で頭部を打たれていた。
「まったく! 無茶しちゃってさぁ!!」
「切り捨て御免でござる!!」
ミカンとケンタロウが、現れた。
ソラは、その状況を見て、目を見開く。
「アイツら……何で……」
すると、二人に続くように、今度は別の男の子の声が飛んできた。
「ソラてめぇこの野郎!!」
怒号のような叫び声が。
「そもそもおかしかってん!! ワイの知っとるソラっちゅう人間は、嫌がる人間を無理やり危険な綱渡りさせるような奴ちゃうやろ!? おどれは! ワイらのためを思って!! あんなことを言った!! そうやろ!?」
それは……。
「ヒカル……お前まで何で……」
ヒカルの声だった。
「来いって言われたら、反発したくなる、カリギュラ効果っちゅうんを利用した、ワイらへの気遣いやろ!? ボケが! んなもん要らんねん!! 余計な気ぃ使うなアホンダラがぁ!!」
ヒカルが、ライオン二頭の頭を鷲掴みにして、地面に叩きつけながら現れた。
「ワイらは! 八人揃ったら何でもできる!! せやろ!? ほんで! 挙げ句の果てにはこのピンチや!! ふざけんな!!」
「め……面目ない」ソラがぽかんした表情で謝った。
これは珍しいことだ。
「アカリのことはワイらに任せぇ!! お前は――――
目の前にいる、ごっつ強そうなヤツを倒すことだけを考えぇ!!」
ヒカルがそう言うと同時、残りのメンバー、ミオリとリュウセイ、リリカの三名も現れた。
「ライオンかぁ、相手にとって不足なしやでぇ!」ミオリは指をパキパキと鳴らし。
「リリカちゃんは、アカリの手当を頼む」リュウセイは、指示を飛ばし。
「分かりました。アカリさん! 大丈夫ですか!?」リリカはアカリの手当てを行う。
その上でヒカルが言う。
「ぶっ倒せ!! ソラ!!」
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