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☆☆☆
ライオンの長が敗北した途端、残りのライオンたちは踵を返すように、その場から去っていった。
絶対絶命の危機的状況を脱したソラとアカリ。
現在二人は、リリカの持ち運んでいた治療キッドにより、傷の治療中である。
「いてて……!」
「我慢してください、そこそこ傷が深いんですから……今ちゃんと処置しとかないと、後でもっと痛い目みますよ?」
「お、おう……それはそうだが……な、何かリリカ、怒ってる?」
ソラが引き攣った表情でそう言うと。
「怒ってません」と、傷口をつねるようにしてリリカは言う。プンッと、両頬を膨らませながら。
「いででででっ! 痛いっ!! やっぱ怒ってんじゃねぇか!!」ソラが悶絶しながら答える。
「怒ってません!」
「いや、その膨れっ面で怒ってないと言われても……なんの説得力もねぇからな?」
「私は怒ってるんじゃないんです! 呆れてるんです!!」
「そっちの方が酷くねぇか……?」
「まったく……! ソラさんも、アカリさんも勝手です……! まったくもう……!」
ブツブツと、そんな風なことを呟きながら、手際良く、ソラの傷の処置を行っていくリリカ。
「いででっ!! 痛いってば!!」
時折、ソラへの嫌がらせを挟みながら。
「ふんだっ」
「ふんだって……」
「まぁまぁ、リリカの気持ちも分かったってぇな、ソラ」と、ミオリが言う。
「お前とアカリがおらんくなって、一番心配してたのはリリカなんやから……怒るなっちゅう方が無理な話やで。つーか、ウチも怒っとるしな」
「…………」返す言葉もないソラだった。
「ちなみに、一番心配してなかったのが、今手品で出現させたコタツで悠々自適に蜜柑食っとるミカンやで」
「? コタツ?」ソラがミカンへと視線を向ける。
すると、ミオリの言葉通りに、コタツに身体を填めて蜜柑を食べているミカンの姿があった。
この雪の山の大地でコタツ?
はぁ?
「ミカン、お前……手品でそんなこともできんのか?」と、ソラが問うと。
「まぁねー。ミカン、手品師じゃなくて魔法使いだしー?」
ミカンは、あっけらかんとそう答えながら、蜜柑を一房口に運んだ。
「コタツに蜜柑ってサイコー」
その様子を見てソラは呟いた。
「もはや何でも有りだな……」
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