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「落ち着いてよ二人共。ボクたちが考えるべきは、この立ち入り禁止区域をどう攻略していくか? でしょ?」
リュウセイのこの言葉に、少し不満げながら、ソラとヒカルは再びコタツの中へと足を戻した。
話を進めるのはリュウセイだ。
「この立ち入り禁止区域内は異常だよ。正直、引き返した方が良いと、今でも思う。だけど……引き返す気はないんだよね? ソラ」
「当然」と、ソラは答える。
「分かった」それに対しリュウセイが頷く。
「実はボク……1年ぐらい前、村長さんに、この立ち入り禁止区域について話を聞いたことがあるんだ。興味本位で」
「村長に!?」「何て言ってたんだ!?」と、驚いたように面々がリュウセイの顔を見る。
「ちゅーか、ちょっと待て」とミオリが言う。
「ある程度情報あったんなら、何で最初に言わんかってん?」
「ごめん……。だけど、村長のその話は現実離れしていて、話すまでもないことだと思ってたんだ。だけど……ここまで立ち入り禁止区域内を冒険してみて、あながちその話が本当じゃないのかって思った訳なんだけど……」
「現実離れ……ですか?」リリカが首を傾げ。
「まぁ……突然雪が降って、虎やらライオンやら、人喰い兎やらがいた訳だ。現実離れっていうのも頷けるよな」とソラが納得し。
「人喰い兎……?」そのソラの言葉にも首を傾げるリリカだった。
リュウセイが言う。
「立ち入り禁止区域内は、本来は何の変哲もない山なんだって。だけど――――足を踏み入れた人間の心によって、景色が変わる。村長はそう言ってた」
「景色が変わる……で、ござるか?」ケンタロウが問う。
「うん……」リュウセイは頷く。
そして、こう続けた。
「もし、景色が変わったとしたら、それは――――『神の試練』のはじまりなのだそうだよ」
「神の……」「試練……?」
予想外の話を前に、面々は唖然としてしまう。
リュウセイは続けた。
「天命山の伝説として伝わってる神様は二柱いるらしくてさ」
「ふたばしら?」ミカンが頭に?マークを浮かべる。
それに答えたのは博識なリリカだった。
「神様の数え方らしいですよ。人間は一人二人と数えますけど、神様は一柱二柱と数えるそうです。以前読んだ、小説に書いてました」
「へぇー」と、ミカンは納得。
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