6人が本棚に入れています
本棚に追加
/42ページ
「つまり……伝説で言う所の神様は、二種類いる、ってことか」ソラが、ここまでの話をまとめた。
リュウセイが「うん、そういうことだと思う」と頷いた。
「ボクが聞き出せたのは、その内一柱の神様のことだけだった。もう一つの方は……何度聞いても、教えてくれなかったんだ」
「ふむ……片方は、教えてくれなかった……か……」思考するように、顎に手を当ててソラが呟く。
「じゃあその、お前が村長から聞けたという話を聞かせてくれ」
「うん……」リュウセイが頷いた。
「『自然の変化、それ即ち――生きること』村長はそう言ってた。語ってくれた方の神様は、『生命力』を試す試練を与えてくださるって」
「生命力? ……生きる力ってこと?」アカリが疑問を述べる。
「言葉通り、そうだと思う」リュウセイが頷き、話を続ける。
「相応しい者が、立ち入り禁止区域に足を踏み入れると、その試練がはじまって、山に変化が現れるそうで、その変化と言うのが――――」
「天候の変化ってことか」ソラが先読みして、リュウセイの言葉に被せるように言った。
「その通り――天候が変わるんだって」
リュウセイのその言葉に、面々は目を見開く。
立ち入り禁止区域に足を踏み入れると、天候が変わる。
桜の花弁が舞う、雲一つない晴天から――――真っ白な雪景色へ変わったように。
天候が、変わる。
「……正直ボクは……立ち入り禁止区域内の景色……この雪景色を見て、心の底から驚いたんだ。村長の言っていたことは、本当だったんだって……。そして――――
ボクらは、神様に選ばれたんだって」
リュウセイは、面々の顔を見渡す。
そして、ソラの顔を真剣な表情で見つめながら、こう言い放った。
「ソラ……断言出来るよ。ボクたちは今――――
神様の試練を受けている」
☆☆☆
「雪の試練……」リュウセイは続ける。
「雨の試練、霧の試練、風の試練……そして――――太陽の試練。五つの試練を与えられるって、村長は言っていた」
「雪の試練……っちゅうことは……?」ヒカルのその言葉に、リュウセイは「そう……」首を縦に振りながら答える。
「まさに今――ボクらは、『雪の試練』の真っ只中なのだと思う」
「だとすると……」ケンタロウが尋ねる。
「その試練攻略は、何をもって、クリアなのでござるか?」
最初のコメントを投稿しよう!