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『おめでとう。生命力溢れるギフターチルドレンたちよ。
雪の試練、合格だ。
よもや、猛獣たちを蹴散らして合格する人間がいるとは、危うく天変地異を起こしてしまうほど驚いた。
あ、起こしてはいないから安心してね。
さて、君たちには、続いて 雨の試練 を受けてもらいたいと思う。
霧の試練と風の試練も同時にだ。
合格条件は一つ、八人揃って、生き残り、ゴールに辿り着くこと。
ただそれだけだ。
君たちの生命力に期待する』
☆☆☆
どうやら、神様も冗談を言うらしい。
読み終えた面々は、とあることに気付いた。
それは立て札の文章について、何か察したという訳ではない。
そんなことよりも、遥かに不気味な音……。
「あ……あの……何か、聞こえませんか?」リリカが言う。
面々の顔が強ばっている。
どうやらその不気味な音……否、不気味な声を、この場にいる全員が耳にしているようだ。
『ぎゃああああっ!!』
『助けてくれぇーっ!!』
『いやぁあぁああぁあーっ!!』
『うわぁああぁあああぁーっ!!』
『やめてくれぇぇえーっ!!』
『きゃあぁああぁあーっ!!』
等など……。
「な、何でござるか……? この声は……?」と、ケンタロウ。
「試練を受けて失敗した人の断末魔の叫びを、BGMで流している……とか、ですかね?」リリカはそう返答する。
「それは、趣味が悪過ぎでござろう……神様殿」
「あながちリリカの発想は、間違ってへんかもしれんで?」ミオリが言う。
「この文章を見るに、この神様らしき奴、なかなかちょけてるみたいやから。そういうこともしてきそうやわ」
「神様やっばー」ミカンはドン引きの表情を浮かべた。
結局、この叫び声は神様の悪ふざけ、という認識で落ち着いたのだが……。
「…………」
「どうしたの? ソラ」
ソラだけが、この叫び声……まるで、断末魔の叫びとも思える声に、眉を寄せ、耳を澄ましている。
「いや……何か、このいくつかの声…………気のせいか……?」
「?」
「……なんでもない。それより、この立て札だ」
ソラが、話を本題へ戻した。
「みんな、気を引き締めろ。次の試練だぞ」
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