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「何か……嫌な音が……」
リュウセイのその声と同じくして、面々が音のした方向へと視線を向ける。
全員、驚愕して目を見開いた。
嫌な予感が的中。
津波の如き水が、八人目掛けて押し寄せてきている。
「急げっ! 向こう岸まで走るぞ!!」ソラが咄嗟に大声を上げる。
それに続くように、バシャバシャと川の中を走り出す八人。
奇遇にも、彼ら彼女らが歩くその場所は水位が浅く、走って渡れるため、泳げないケンタロウやミカンでも問題なく横断できた。
しかし――
襲い来る大量の川水を前に、圧倒的に時間が足りなかった。
「くそっ!!」
津波のような水に、のみ込まれてしまう八人。
荒れ狂う水の中で、ソラは必死にもがき、近くの木に掴まって顔を出す。
「ぷはっ!! ……みんなは!?」
すると、続いてミオリとリリカが顔を出した。
彼女は岩に掴まっている。
「ぷはっ!! 大丈夫なんか!? ミオリ!」
「ゲホゲホッ!! 水飲ん……じゃって……ゴホッゴホッ、でも……大丈夫……! 他のみんなは……!? ケホッ」
ミオリが辺りを見渡すと、同じように顔を出しているソラの姿を発見。
それと同時に――
「た、助け……ゴボゴボ……! ミカン……泳げ……ゴボゴボ」溺れているミカンと……。
「うわぁぁあーっ!! だ、誰か……ゴボゴボッ!!」同じく溺れている、ケンタロウの姿があった。
ケンタロウに至っては、流された時の影響で日本刀のキーホルダーを手放してしまったようで、弱気な彼に戻ってしまっているようだった。
ソラは一瞬で状況判断。
「ミオリ!! リリカを頼んだぞ!!」
「お、おう!! リリカ、とりあえず石の上に上がるで? いけるか?」
「う、うん……ありがとう……」
一方ソラは、再び川の中へ。
激しい水流の中、必死に泳ぎ、先ずはミカンの元へ。
比較的近い場所だったため、すぐにたどり着いた。
「た、助けっ……!」
「落ち着けミカン!! 大丈夫だから!!」
しかし、ミカンはもがき続けている。
するとここで、リリカの声が飛んできた。
「ソラさん!! 溺れてる人をそのまま助けようとしちゃダメです!! 一緒に溺れちゃいます!!」
ソラが声の方へ目を向けると、石の上に避難したミオリとリリカの姿を確認。
「了解!」
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