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「あんな事件を起こしてしまった、自分にも……そして、それを止めると言って、止められなかった大人たちにも……揃って腹が立っている」
ソラは、強い声でそう言った。
「せやから、その責任は――」
「はっきり言うぞ、ヒカル。お前が言う、その責任を負う奴らは、揃ってバカばかりだ」
「はっきり言うたなぁ……お前……」
「オレたちは、バカの手綱を握らなきゃならなかったんだ。それを放し飼いにした結果が昨日のアレだ。飼い犬が犯した問題は、飼い主の責任だろう」
「ソラって、時折……凄いことを言うよね」と、リュウセイが苦笑いを浮かべる。
ソラが言う。今度は、大地を見つめながら。
「誰が何と言おうと……アレは、オレたちの責任だ」
「け、けど! 先生らに動くな言われとったんやから! ウチらが動かんかったんは仕方の無いことやん!!」ミオリが言う。
すると、「それ」とソラはミオリを指差しながら続ける。
「結局、オレたちは大人の言うことに従ってしまったから、動けなかった。それが腹立たしい」
ソラは続ける。
「……昨日……怒りで、あまり眠れなかった。そのことばっかりずーっと考えてた。で、思い立った訳だ。そうだ、『立ち入り禁止区域』に入ってやろう、とな」
「発想が急展開だな……」ケンタロウが唖然とする。
その時だった。
「ぷっ! あははははっ!!」最後の最後まで口を噤んでいた、赤色のランドセルを背負った女子小学生が、吹き出すように大笑いして見せた。
「……何がおかしいんだ? アカリ」
アカリと呼ばれるその女子生徒は、ヒーヒーと笑いを必死にこらえながら言う。
「いやいや、急に何を素っ頓狂なこと言い出したのかと思えば、要するに大人たちへの八つ当たりとして、ルールを破ってやろうって発想でしょ? めっちゃガキじゃん! それをヒカルやミカンや、リリカやケンタロウが言うんじゃなくて、ソラが言うってところに、意外性があって、面白いなぁーって」
そう言いながら、まだクスクスと笑っているアカリ。
名指しされた四名は、不本意だと言わんばかりに顔を歪め。
笑われたソラは、少し怒気を孕んだ声で……「オレ、真面目な話をしてるんだけど?」と言った。
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