6人が本棚に入れています
本棚に追加
アカリは言う。
「分かってる分かってる。真面目な話だよね? だからこそ面白いんだよ。あー……笑えるわー」
「真面目な話って分かってるんなら、笑うのはやめてもらいたいんだが?」
「不愉快だ」とソラは続ける。
ピリッとした空気が流れた。
面々に緊張感が走る。
ソラが怒るぞ――――と。
すると、その緊張感の中で唯一、ケロッとしているアカリが「あらあら」とソラに対してアクションを見せた。
「怒っちゃった? ごめんねー」
あっけらかんとした口調のまま、そんなことを言う。
「…………」ソラの険しい表情に変化はない。
「おー怖。ブチ切れじゃん。そんな怒んないでよー。別にバカにしてるつもりはなかったんだからさぁー」
「お前にバカにする気持ちがなくても、オレがバカにされているように……てゆーか、この問題を茶化されているように聞こえたから、ムカついてんだよ」
「茶化してない茶化してない」
「…………」
「ホントだよ? 現にあたし、ソラの提案に賛成だし」
「「は!?」」と、他の面々が驚きの表情を見せる。
「あ、アカリさん……賛成なんですか?」
「チョー意外。てっきり、『あたし面倒臭いからパース』とか言うんやと思っとった」
リリカとミオリが特に、驚いた様子だ。
細い目をしてアカリが「あたしを何だと思ってるのよ」と返答した。
ハァ……と小さく息を吐き、アカリが続ける。
「正直な話……あたしもこの一件にイラついてるんだよね。ソラみたいに、ではないけど、それなりに思うことはある」
「…………」ソラの視線が、彼女へと鋭く向けられる。心理を確かめているかのように。
そんなことお構いなしに彼女は更に言葉を重ねる。
「大人の言いなりになってばっかりなのって、そもそもあたし気に入らなかったんだよね……。正直、この提案めっちゃ良いと思った。役立たずだった大人たちに目にもの見せてやる良いチャンスだなぁーって」
そう言った後、「まぁ、それを言い出したのがソラだった、っていうのが意外すぎて面白かったんだよね」またしてもケラケラと笑いながら、アカリはソラを見た。
最初のコメントを投稿しよう!