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「別に...何か出ないといけないらしいから得意なやつでエントリーしただけ」
「凄いな〜!ていうかそんな活躍したら、また大輝モテモテになるね」
「......」
未だ無表情のままの大輝は僕の言葉に「モテるとかどうでもいいよ」とだけ答えると、いつの間にか空になったプレートを持ち、ゴミ箱に捨てにいく。二人が一緒に走る可能性もあるのかな、なんて呑気にそんな事を考えながらジュースを飲み干す。その日は特にそれ以上会話をする事なく、僕と大輝は解散した。
「そういえば僕の友達も対抗リレー出る事になったみたいなんです」
久々の先輩との電話。
夜、寝る直前に先輩から電話出来るかどうかのメールが来て、かれこれ数十分電話している。どうでもいい雑談やここ最近の近況を話していた後、ふと思い出した大輝との会話を振ってみた。
『友達──いつも一緒にいる黒髪イケメンの峯岸大輝君?』
「名前知ってたんですか」
『部活に顔出す度見かけるけど真面目に練習してる子でしょ。隠れファンが居るくらいモテモテなんだとか』
「へぇ〜!そうだったんですね....」
どうやらイベントがなくとも彼は僕が知らない内に女子にマークされていたらしい。嫌がっている彼を想像して思わず笑うと、電話越しに『仲、良いんだね』と先輩の落ち着いた声色が聴こえてくる。久々の先輩の声は優しくて、ずっと聞いていると眠くなってくるみたいだ。
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