episode 4

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「そうだなぁ。怜ちゃんが俺のお願い聞いてくれるのならリレー出るよ」 「お願い....?」 何かえっちなお願いだろうか。なんて僕の見え見えの考えを察した先輩は「顔真っ赤ー」と更に笑った。そして... 「健全なお願いだよ。怜ちゃん、当日お弁当持って来てよ」 「て、手作りですか?!」 「うん。怜ちゃんお手製のお弁当食べたい」 お弁当──料理、あまりしないのだが出来るだろうか。でも先輩も僕の我儘聞いてくれようとしてるし....先輩のカッコ良い所を見れるのなら頑張って作ってみようかな。 「は、隼人さん程上手に出来ないと思いますよ」 「そんなの気にしないよ。怜ちゃんが俺の為に何かしてくれる、それが嬉しいの。させようとしてるのだけど」 笑いながらそう言った先輩は体育祭の資料をファイルにまとめると「今から職員室に行くから解散ね」と話を切り上げる。外へ出て「じゃあまたね」と頭を撫でた彼は、そのまま職員室の方へ向かって歩き出す。好きな人──恋人との初めての学校イベント。僕は胸の高鳴りを感じながら遠ざかっていく彼の背中をボーッと見つめていた。 ──── ── 「そんな会話を交わして早一ヶ月...先輩とはかれこれメールでしか連絡が取れず、直接会う事がなく体育祭が近づいて来ています」 ぐでーっと机の上に突っ伏しながら言う僕の目の前で、しなっとしたポテトを一つ取り出し無言で口に運んでいく大輝。ふわふわな猫っ毛の下から真っ黒の目が此方をジッと覗いてくる。
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