episode 4

4/7

70人が本棚に入れています
本棚に追加
/47ページ
「....え、なに。知らない内にそこ迄距離縮んでいた訳?友達っていうかもはや恋人なんだけど」 そうだ。大輝に先輩と付き合い出した事まだ伝えていなかったのだ。バタバタしていてタイミングが見つからず放置してしまった。覚悟を決めた僕は前のめりになり「あの...」と小声で切り出す。 「実は一ヶ月少し前から先輩とお付き合いをしていまして...」 「──は?」 口に運びかけていたナゲットを待つ手を止めて、目を丸く明らかに動揺した態度を見せる大輝。「.....本気?」と心底信じられない様子でもう一度聞き直してくる。 「だ、だから!先輩とお付き合いをして...います」 「先輩って..三木隼人と?え、ごっこ遊びとかじゃなくて本気で..ていうか.......好きだったの?」 ......そこからだったか。好きと自覚したのも最近だったし、大輝の中の僕の先輩に対する想いは恐らくアップデートされていない。「色々あって」と簡潔にまとめて言うと、彼はナゲットをプレートの上に置き、静かになった。なんだか大輝の様子がおかしい気がするが、特に気にせず会話を続ける。 「対抗リレーなんだけどね。先輩に我儘言って今回初めて出てくれる事になったんだ」 「......あの人たまに部活で見かけるよ。俺も対抗リレー出るから、よくコース練の時会う」 「え、大輝も対抗リレー出るの?凄っ!」 そういえば大輝も陸上部だった。 中学の時も三年間陸上部で女子に大人気のエースだった。今より更にクールで、黒髪短髪だった大輝は常に女子に呼び出されていたイメージがある。恋愛以前に異性に全く興味がない様子で、声を掛けられる度にいつも死んだ目をしていた記憶もある。思い返せば大輝はずっと僕の隣にいる気がする。
/47ページ

最初のコメントを投稿しよう!

70人が本棚に入れています
本棚に追加