四章

48/48
10人が本棚に入れています
本棚に追加
/229ページ
 本当に何度も続くものだから、深守の治癒も追いついていなかった。ずっと私を抱き締めながら、溢れる血を受け止める事しか出来ず「結望っ……結望……」とただ名前をひたすら呼び続けた。 「……まさか、烏天狗って事は時を操ったのか」  折成さんは思いついたように言った。 「いか、にも……。生贄が……羅刹、さまと…繋がっている……身体に、戻したのじゃ」空砂さんは浅い呼吸で答える。「さすれば……、否が応でも儂と同じ結末を、迎えよう……」 「そんなの、都合が良すぎるだろ……! 何故黙っていた!」  今度は昂枝が叫ぶ。 「何を言う……。己の力を、易々と言うものか……」  そう言いながら、刀をもう一度振りかざす。 (あぁ……もう、楽になりたい)  私は地獄の中で願ってしまった。  空砂さんも、私も、この状態でまだ生きているのだから、鬼族が死ぬには相当な衝撃が必要なのだと、身を持って学んだのだった――。
/229ページ

最初のコメントを投稿しよう!