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序章
昔、小さな土地に人間が移り住んできたという。
その人間達は此処に村を作った。その村は小さいながらも活気に溢れ、庶民も、お金持ちも、身分の差をほとんど感じさせない関係性もこの村の良いところだった。
しかしこの村周辺には妖が沢山潜んでいる。妖は人々を襲うことから、村には“妖葬班”と呼ばれる若い男達を集わせた妖退治の団体が作られた。実力を認められた者が所属でき、そこから更に優秀な人材として認められると、妖葬班を引退した後村の政治を担う役割を任された。
月日が流れそれが当たり前の日常となった今、妖葬班は村の少年達の憧れの象徴だ。村の端の方では剣の腕を磨こうと日々鍛錬する声が聞こえ、また程近くでは村に襲いかかって来た妖を退治する声が聞こえた。
妖が始末されるのを見れば、村人は喜び報酬を手渡す。村の平和は全て、妖葬班にかかっているからだ。
では何故妖は人を襲うのか。襲わぬ妖も中に入れいるのではないか。例え思っても口に出してはいけない。
そもそも、そう考える者はきっといない。妖そのものを消し去ろうとしている彼らは村の“英雄”だから―――。
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