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本当に何度も続くものだから、深守の治癒も追いついていなかった。ずっと私を抱き締めながら、溢れる血を受け止める事しか出来ず「結望っ……結望……」とただ名前をひたすら呼び続けた。
「……まさか、烏天狗って事は時を操ったのか」
折成さんは思いついたように言った。
「いか、にも……。生贄が……羅刹、さまと…繋がっている……身体に、戻したのじゃ」空砂さんは浅い呼吸で答える。「さすれば……、否が応でも儂と同じ結末を、迎えよう……」
「そんなの、都合が良すぎるだろ……! 何故黙っていた!」
今度は昂枝が叫ぶ。
「何を言う……。己の力を、易々と言うものか……」
そう言いながら、刀をもう一度振りかざす。
(あぁ……もう、楽になりたい)
私は地獄の中で願ってしまった。
空砂さんも、私も、この状態でまだ生きているのだから、鬼族が死ぬには相当な衝撃が必要なのだと、身を持って学んだのだった――。
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